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読了:迷宮街クロニクル② 散る花の残すもの

webで公開・連載されている頃から読んでいた和風wizardry純情派の商業版第二巻である、
「迷宮街クロニクル② 散る花の残すもの」が発売されたので読んでみました。
これから読む人のために、あんまりネタバレにならないように書いてみます。(4/18追記)

舞台は現代の日本。
数年前の地震で突如京都に迷宮が出現した。
そこに潜む怪物を自衛隊で駆逐するにはあまりに人的損耗が大きすぎるため、
「人類の剣」と呼ばれる、戦士や魔法使いと表現できる超常の技を現代に伝える人々を中心として立ち上げられた迷宮探索事業団。
事業団は広く一般から「探索者」という怪物の退治と迷宮の探索を行う人々を募集する。
彼ら探索者が目的とするのは、怪物の体に含まれる"生産するには著しくコストパフォーマンスの悪い"希少な物質を手に入れるため。
ある商社が希少物質を独占して買い上げており、希少物質は安くない価格で取引されている。
探索者達は死亡率14%という危険と引き換えにして多額の報酬を手に入れるため、
今日も六人一組のチームを組んで迷宮へと降りてゆく……。

このような舞台を背景に、劇的に人が変化し簡単に死んでしまう迷宮街で、
探索者と、様々な立場で探索者を取り巻く人々の想いがドラマを織り成していく群像劇です。

迷宮街クロニクル2 散る花の残すもの (GA文庫 は 4-2 迷宮街クロニクル 2)迷宮街クロニクル2 散る花の残すもの (GA文庫 は 4-2 迷宮街クロニクル 2)
(2009/04/15)
林 亮介

商品詳細を見る
オススメのシリーズ・迷宮街クロニクルの第二巻です。
他とは一味違う、等身大のキャラクターたちの物語を読んでみたい方はぜひ!


(4/17:いろいろ追記)
(4/18:追記と本文を一部修正)
(4/19:誤字など追記 修正履歴記入)
この作品の大きな特徴は主に以下の三点です。
まずはなんといっても、人が死にやすいからこそ緊迫感のあるドラマが描かれていることでしょう。
二つ目が現代日本でwizardryの話が成立するとしたら?という深い考察。
三つ目が多くの登場人物(主人公を含め登場人物のほとんどが20~30代の成人なので、多くの場合はラノベ読者にとっての大人の)様々な価値観が現れているところです。

最初に挙げた死をめぐるドラマこそがこの迷宮街クロニクルの真髄です。
探索者が行う死なないための努力、死にゆく者の想い、死に近い探索者に関わる人々の葛藤……
心を抉るような場面が多いので万人にお勧めは出来ませんが、非常に読み応えのある物語です。

二つ目の考察は、どんな理屈で魔法などのような現象が起こせるのか? なぜ怪物を倒すとお金が手に入るのか?というところから出発して、商社という組織を登場させたことに尽きるでしょう。
商社を、悪役でもご都合主義を発揮するための舞台装置でもなく、
主人公達と協力をしつつも独自の立場を取る魅力的なサブキャラクターとして描いているという点で、非常に特徴的です。
これはおそらく、作者の林亮介さんが京都で営業の仕事をされていた経験が小説に反映されているのでしょうね。

三つ目の(大人の)価値観は、大人を(他の多くのラノベのように強力もしくは無力な)指導者・敵対者のような存在ではなく、
「悩みながらも頑張っている」等身大の人物としての様々な側面を描き、魅力的に表現しています。

とくに二つ目と三つ目を見事に表現した、一二月十九日の「迷宮街・出入り口詰め所 十一時四十七分 後藤誠司⑧」が二巻の中で一番お気に入りです。
後藤誠司のように有能で粋な大人ってすごくかっこいいと思います。
そこにシビれる!あこがれるゥ!

他にも「金を稼ぐには製造から先のプロセスこそ重要」とか「連戦連勝とは強さを意味しない」「本当の強さは負けてなお立ち上がるそのときに見られる」というあたりのくだりも非常に心に響きました。

津雪さんの(本来の作風であるファンタジックな絵柄とは全く違う)迷宮街を描いた挿絵は、
穏やかな日常と、極限の状況下である地下の両面の様子の伝わってくるものでした。
(ここから4/17追記)
キャラクターやアイテムのビジュアルイメージも新鮮でした。
真城雪ってお水っぽかったんだ、とか
画的なヒロインって葵だよね、とか
今泉博って茫洋とした感じだったんだ、とか
小林桂みたいな先生は憧れても仕方ないよね、とか
鉄剣や豹柄のツナギってこんな感じなんだ(越谷のシマウマや人体図のツナギは見たかった……)、とか
真壁はこんな可愛い彼女(神野由加里)と付き合っていたのか!羨ましい!!、とか、
web公開版や漫画版を読んでいたので、新しい感動がありました。
(ここまで)
でも真壁と鈴木秀美のイメージがちょっと想像してたのと違っていました。
真壁は(一巻から思っていたことだけれども)大学の新入生っぽく見えて、
今泉博と並んだら同年代に見えてしまいそうです。
体操をやっていたにしては筋肉がついていないような……(4/17追記)
今回初出の鈴木秀美は可憐すぎる!(4/17追記:外伝単行本の表紙のイメージが強かったので)
こんな女の子が全くの初心者なのにクライミング経験者の西野と並んで壁のぼりをするのだから、
西野でなくても「君はいったいどういう人間なんだ?」と聞きたくもなりますね。
表紙でマフラーをしてるのはやっぱり忍者だからでしょうか?
津雪さんの本来の持ち味の絵で、ファンタジー作品に出てくる"けしからん"くノ一衣装を着た鈴木秀美を見てみたいですね。
花柄のツナギは外伝でみられるかなー?
あと、何気に星野由真のイラストが本邦初公開ですよね。
こんな可愛い娘なら、誰にも渡したくないだろうなーと星野幸樹の気持ちになって考えてみたり。
津差、俺と代わるんだ!


ついでに手元に残しておいたweb公開版pdfとも読み比べてみたり。

まず、全体的に(特に地の文での)キャラクターの掘り下げと修正がされており、キャラの立ち方がweb公開版より人間の厚みをもったものになっていました。
例えば恩田信吾がより思慮深く、しかし自身の経験を根拠にした自信家になってたり、
水上孝樹の年相応の青年ぶりが見られたり、
真城雪の女帝っぷりに磨きがかかってたり、
鈴木秀美がより年相応の思考っぽく、かつサラブレッドっぽい、精神よりも能力の先行した18歳らしい対応と反応をしていたり……
書き下ろしで追加されたP249からの「迷宮街・木賃宿 十一時四十五分 笠置町葵⑤」ではある種超然としたところのある真壁の人間らしさを、
書き下ろし短編の「祭典の前夜祭」では、笠置町翠という女性を垣間見られて良かったと思います。
他の(大きく加筆された)キャラについては、ネタバレになるのであえてここでは書くことはしませんが、
web公開版と比較して、キャラクターの厚みがより出ているようになったと思います。(4/18 修正・追記)
編集さんと一緒に文章を推敲するとこんなに印象が変わるものなんですね!
「予想通り予想を覆された」なんてフレーズ、すごく好きですよ!!

ところで小林桂と三峰えりかが友達だっていう話はどうなったんだろう……?

(4/17追記)
あとひとつ残念な部分を上げるなら、web公開版で気に入っていたシーンが、小説版ではなくなっていたのが少し残念でした。
十二月十四日(日) 岐阜県「のぞみ」車内 九時十五分 間光彦①
(web公開版だと、迷宮街・出入り口詰め所 十四時十五分)です。
小説版では探索者である桐原聡子が「あなたたちを守ることはしない」と告げて(間接的に)地下に一般人が入ることの危険性を警告する場面なのですが、
web公開版では間光彦が敏感に探索者との意識の違い(とそれを生み出させる迷宮の壮絶さ)を感じ取る場面でした。
すこしweb公開版から引用してみましょう。


 カメラの大西浩太に背突かれて、おそるおそる地下にもカメラを同行させたいのだが、と切り出した。桐原は予想通りに危険ですからとやんわりと断った。そしてその後で、降りたいというのなら止めませんけどね、と。
 おお、とスタッフの中で喜びの空気が湧き上がる。しかし、間は「いや、やめておきます」と申し出を撤回した。いぶかしげで不満げな残りのスタッフたちの視線に苛立つ。どうしてこの馬鹿どもは気づけないんだ。殴りつけたい気分だった。
 目の前の探索者が思っていることをどうして気づけないんだ。俺達に抱いている感情をどうして気づけないんだ。
 彼女は俺たちの申し出を拒否しながら、内心は喜んだとなぜ気づけないんだ。一回分の盾ができた、とほくそえんだとなぜ気づけない。
 早くこの街を離れたい。心底からそう思った。



しかし、これだと桐原聡子の株が下がるばかりか、
商社の代表である榊原と後藤に対する評
(迷宮街に深く関わらない一般人から関わる一般人への感想)も出ては来ないので、
妥当な改変ではあると思います。
(追記ここまで)


しかし、こういう良い小説を読むと、自分でも小説を書いてみたくなりますね。
このブログでやってみようかな?(←無謀すぎる)

あと誤字を発見しました。

P249 十一時→二十三時
P397 フリガナ くにみつひかる→くにむらひかる
P287 ⑧→⑨ (4/19追記)
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